1995年度
小規模事業所における総合的健康管理の方策に関する調査研究
中間報告書 概要(その1)

調査のまとめ

1.調査対象の概要
 大阪府大東市の一部地区の従業員50人未満の小規模事業所を調査対象とし、全体では281事業所であった。このうち、1-9人事業所が164事業所(全体の58%)、10-29人事業所が93事業所(33%)、30-49人事業所が24事業所(9%)であった。産業大分類にしたがった業種別の事業所数は、建設業35事業所、製造業133事業所、電気・ガス・水道業1事業所、運輸・通信業7事業所、卸売・小売・飲食業50事業所、不動産業6事業所、サービス業47事業所であった。
調査対象事業者の正社員が加入している健康保険については、組合健保が12%、政府管掌健康保険が37%、国民健康保険が27%であった。また、労働保険の加入率は全体で68%であり、事業所規模が小さいほど加入率は低下し1-9人事業所では55%であった。  週休2日制の実施率は22%と低く、週休1日が41%、週休1.5日が31%であった。  労働時間は7-10時間台が多く、8時間台がピークであった。1-9人事業所では9時間以上の事業所が36%を占め、10-29人・30-49人事業所に比べて割合が高かった。

2.労働衛生管理体制
 かかりつけ医・産業医がいる事業所は16%、衛生管理者がいる事業所は15%であったが、衛生推進者・安全衛生推進者の選任が10%と低かった。
 安全衛生委員会は8.2%の事業所に設置されていた。
 作業主任者の選任は、最も取扱が多い有機溶剤では50%、特定化学物質では13%と低かった。

3.健康管理
 健康診断の実施率は68%であった。しかし、実施項目をみると、1項目のみが32%(胸部レントゲンのみを含む)、胸部レントゲンと血圧・検尿の3項目のみが13%、34歳未満と36-39歳の項目のみを10%の事業所がおこなっていた。安全衛生規則に定める項目を行っているのは13%に留まり、事業所規模が大きくなる程その割合は増加した。
 健診の企画者は、事業所自身である事業所は27%であり、商工会が25%、健康保険などが28%であった。事業所以外が企画者である事業所は、事業所規模が小さいほど多かった。 健診の実施者は、1-9人・10-29人事業所では保健所の割合が31%、27%と高かったが、30-49人事業所の53%が健診機関によりなされていた。
 健康診断の事後措置として、受診指導は半分強の事業所で行われていた。しかし、仕事への配慮は13.5%しか行われていなかった。
 健康診断を実施しなかった理由として、「時間がない」、「従業員が受けたがらない」、「法律を知らなかった」等が挙げられた。「今後必要と思われる健康診断の条件」にも、「手軽」と「時間がかからない」を挙げた事業所が多かった。また、「希望する健診の形」は、「事業所内での集団健診」が多く、実際に行われている形よりも希望が多かった。
 心の健康については「相談できるところがある」は全体で12%であり、69%は「ない」であった。  健康づくりについては、何らかの対策を行っているのは38%であり、「特にしていない」が全体の62%を占めた。
 健康診断、健康管理をして良かったこととして、「従業員の意識が高まった」ことが最も多く、次いで、「重病人の発生を事前に察知できた」が多かった。

4.作業管理および作業環境管理
 「コンピュータワープロ作業」では60%、「不良姿勢」では56%、「重量物取扱」では63%、「肩・腕への過重な負担作業」では55%と、半数以上の事業所で作業管理を実施していた。作業管理の対策の方向ではある程度適切なものが選択されていた。
 作業環境管理において、作業環境測定は「電離放射線」においては該当事業所総てにおいて行われており、「高温・低温作業」では70%、「粉塵作業」では63%、「有機溶剤作業」では67%と、該当事業所の60%以上でおこなわれ、「鉛作業」では50%、「特定化学物質作業」では50%、「騒音作業」では45%と半数前後でおこなわれていた。対策としては、発生源対策や局所排気装置などが行われる一方、個人保護具による対策もみられた。
 作業環境測定や対策を実施していない理由として、「法律を知らない」が最も多くて、次いで「時間がない」が多かった。
 作業管理及び作業環境改善が進まない理由として、「時間がない」が最も多く、次いで「費用がない」であり、「対策案がない」、「相談できる人がいない」も相当数あった。
 快適職場に関連した施設では、食道兼休憩室が最も多く、その設置率は事業所規模が大きくなるほど増加した。喫煙対策では「対策をしていない」が63%を占め、対策としては「喫煙場所の設置」が多く、対策をおこなっているのはサービス業が最も多く、次いで製造業であった。

5.労働衛生・健康教育
 テーマとして「職場の安全」が最も多くて24%、次いで「職場の衛生」で10%であった。事業所規模別では30ー49人事業所で実施率が最も高かった。

6.職場における健康確保
 事業主自身の健康への関心は「マァマァ」が46%で最も多く、次いで「強い」が33%であり、事業所規模が大きくなるにともない「強い」の割合が増加した。従業員の健康についての事業主の関心は、「マァマァ」が最も多く43%、次いで「強い」が39%であった。これも、事業所規模が大きくなるにともない「強い」の割合が増加した。従業員自身の健康に関する関心は「マァマァ」が57%最も多く、次いで「強い」が22%であった。
 今後実施したい、実施して欲しい事項として、「健康診断・事後措置」が162事業所、「労働衛生教育・健康教育」が65事業所、「健康情報の労使への提供」が61事業所などであった。
 健康に関する情報で必要と感じている情報については、「健康づくり」が最も多く103事業所で最も多く、「ストレス対策」91事業所、「成人病対策」84事業所、「肩こり腰痛対策」80事業所などであった。
 職場における健康に関する情報の主な入手経路については、「刊行物」が113事業所で最も多く、「商工会・商工会議所」が103事業所、「労働事務所・社会保険事務所」が81事業所の順で多かった。この順はいずれの事業所規模でも共通していた。1-9人・10-29人事業所で「同業者・取引関係」が30-49人事業所に比べて多かった。
 職場における健康確保のための活動の経済的な裏付けの希望については、「健康保険からの助成」が118事業所で最も多く、「労災保険からの助成」が115事業所、「国・自治体からの助成」が109事業所の順で多かった。
 健康確保に関連した今後重要と思われる制度については、「少ない費用の実施機関」が169事業所で最も多く、「情報を容易に入手できる制度」が110事業所、「身近な実施機関」が87事業所、「専門家に相談できる制度」が55事業所の順で多かった。
 職場における健康確保のための活動に関する今後の考えについては、「現状を少しでも前進させてゆきたい」が45%で最も多く、次いで「経営に手一杯で手が回らない」が21%、「現状の内容を何とか維持していきたい」が18%などであった。多い回答の順番はいずれの事業所規模でも共通していた。