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平成17年度 調査研究概要

ウイルス課の「平成17年度に実施する調査研究」を簡潔・平易にまとめてあります。

新型インフルエンザウイルスに対する型別迅速診断法の開発*2

(ウイルス課 高橋和郎 他1名、細菌課1名)

ヒトでの勃発が危惧されるトリインフルエンザウイルス(H5,H7,H9亜型)をより迅速に(15分程度で)型別診断できるイミュノクロマト法を開発することを目的とする。本診断法の感度と特異性について種々のインフルエンザウイルスを用いて検討し、信頼性のある診断法を確立する。この迅速診断法を商品として実用化するため、企業との共同研究により開発を遂行していく。

ウイルス性呼吸器感染症の研究

(ウイルス課 加瀬哲男 他8名)

ウイルス性呼吸器感染症の感染拡大防止を目的とする。そのためには、宿主側要因を含めた感染症サーベイランスが不可欠である。我々は流行ウイルスの性状、ウイルス抗原の解析、ウイルス遺伝子の変異、宿主の抗体保有状況などを把握するために、ウイルス分離、抗原検出、核酸検出、抗体価測定などを行っている。これらのことは、感染症像の正確な理解と公衆衛生上必要とされる対策への助けとなる。

腸管感染性ウイルスに関する研究

(ウイルス課 山崎謙治 他1名)

エンテロウイルス、ノロウイルス、肝炎ウイルスなどの検出および遺伝子診断を行うことにより、流行ウイルスの疫学情報の還元、ウイルス流行予測をすることを目的とし、またウイルス検査法の開発を行うことにより、原因不明疾患の病因の解明をすることを目的とした研究を行っている。

衛生動物を介する感染症に関する研究

(ウイルス課 弓指孝博 他3名)

衛生動物を介する感染症には、新興感染症(ウエストナイル熱、日本紅斑熱)、輸入感染症(デング熱)、人獣共通感染症(Q熱)などが含まれ、人が感染すると重篤になるものも多い。この研究では、これらの感染症について患者の実験室診断や衛生動物における感染状況の把握を行い、治療や防疫対策に役立てる。

HIV感染症に関する研究

(ウイルス課 大竹 徹 他3名)

HIVの拡大を防ぐために次のような研究を行っている。
1)迅速で正確な診断を行うための検査法の確立。
2)HIV感染者の広がりの実態を明らかにするために、リスクの高い人々を対象にした疫学調査。
3)HIV感染者の的確な治療を支援するためのウイルス学的な検査法の確立。
4)新たな作用メカニズムを持つ抗エイズ薬の候補物質の検索。

腸管寄生性原虫に関する研究

(ウイルス課 木村明生、環境水質課3名)

ヒトの下痢等の原因となる、赤痢アメーバ、ランブル鞭毛虫、クリプトスポリジウムの疫学的調査研究および高感度の同定法の開発を目的として研究を実施している。本年度は、蛍光抗体法スライド上で検出されたクリプトスポリジウムの種を、高感度に同定出来る方法の開発について研究を実施した。その結果、蛍光抗体スライドから回収した数個のオーシストからNested PCRにより目的の遺伝子を検出しシークエンスより種の同定を行う事が出来た。

ヒトヘルペスウイルスに関する研究

(ウイルス課 宮川広美 他1名)

中枢神経症状が認められる患者や、骨髄移植患者の検体からヘルペスウイルスの検出をnested PCRを用いて行った。初感染時のみならず、体内に潜伏感染し、再活性化時にも重篤な症状をひきおこすヒトヘルペスウイルスの動態を明らかにすることを目的としている。

先天性サイトメガロウイルス感染症のマススクリーニング法の開発*2

(ウイルス課 宮川広美 他1名、食品化学課1名)

先天性サイトメガロウイルス(CMV)感染症の発生頻度を調べるために約1,000例の新生児に対してnested PCRによるスクリーニング検査を行い2例の陽性があった。陽性の児に早期に対応することを目的として現在マススクリーニングにも使用可能な簡便なCMV検査法について検討中である。

ウイルスと環境化学物質の突然変異誘導に関する研究

(ウイルス課 小田美光)

がんウイルス及び環境化学物質とその変異原性との関連性を明らかにすることは、発がんのリスク評価および予防をする上で非常に重要である。大腸菌のポリメラーゼB遺伝子欠損菌株にB型肝炎ウイルスのX遺伝子をコードするプラスミドを導入したumu試験菌株を作成し、その菌株を用いてumuC遺伝子の誘導を検討しその誘導機構について解析する。

生薬の免疫機能に及ぼす効果

(ウイルス課 高木康博)

古くからウイルス性疾患など感染症に用いられている生薬・漢方薬は免疫機能の賦活を目的としていると考えられるが、薬効や機序は十分明らかではない。本研究は高齢・老齢マウスを用いて、高齢・老齢期の免疫機能を高める効果をもつ生薬・漢方薬の作用機序を解析して、高齢・老齢者における感染症防御や健康維持に役立てることを目的としている。

花粉症対策のための基礎的研究

(ウイルス課 西村公志)

スギ・ヒノキ花粉症が非常に問題となっているが、空中飛散している花粉はスギだけではなく多くの種類の花粉が飛んでおり、それぞれの花粉に対して花粉症がある。その花粉症対策のためには、花粉の飛散状況は非常に重要である。そこで、公衆衛生研究所において空中飛散花粉を一年を通して観測し、データの集積解析を行っている。そのデータの一部は、公衆衛生研究所のホームページに公開している。

編集:企画総務部 企画調整課