<小規模事業所における総合的健康管理等の方策に関する提言>
V.関連機関によるネットワークを形成する


  小規模事業所における労働衛生管理活動は、個々の事業所まかせでは不十分なことしかできないことは現状がよく示している。既に、商工会議所や同業組合が一般健康管理や有害作業において大きな役割を果たしている事例は多い。これらの活動経験を生かし、小規模事業所における労働衛生管理活動を効果的に進めるには、関連する各機関や団体の協力・協同が必要である。


1.地域産業保健センターを中核として、行政(一般衛生・労働衛生、産業・商工)、労働衛生機関、小規模事業所、発注主・元請、中小企業団体、労働組合などの連携のための機関をつくる

  郡市区レベルにおける労働衛生機関も包括した労働衛生管理に関する連絡会・協議会の結成が必要となる。これによってネットワークを形成し、啓発・情報提供・健康教育、健康診断など労働衛生管理活動の企画・調整を連携しておこなう。このような活動の中核機関には地域産業保健センターが期待される。労働衛生機関も包括することにより労働衛生管理に従事する人達の生の声、見聞、経験を生かすことが可能になる。
  この場合、大阪府における「地区勤労者健康管理推進協議会(地区協)」が参考になる。地区協は、大阪府労働事務所を事務局として、所管の保健所、市産業担当部課・保健衛生担当部課、労働基準監督署、商工会・商工会議所、医師会、労働団体代表により構成され、一般健康診断・教育・啓発活動をおこなっている。
  なお、政令指定都市においては、労働部局がないこと、区の権限が小さいこと、保健所が再編される方向にあることなどから、別途検討を進める必要がある。


2.小規模事業所の組織化

  小規模事業所がまったくバラバラのままで、労働衛生管理を推進することは、情報の提供や労働衛生管理活動の効率の面で問題が多い。多くの業種を含む商工会議所・商工会、あるいは同一の業種から成る同業組合などへの加入を促進して組織化することは労働衛生管理を推進する上で有利な状況をつくりだせる。これらの組織による教育・研修の機会、あるいは同業組合による安全衛生パトロールなどの自主的な活動は大きな効果が期待される。また、情報などの共有化が可能となり、改善モデルが有効に用いられる契機となる。アウトサイダーへの対応が問題になるが、組織の利点を十分に提示できることが重要であろう。