<小規模事業所における総合的健康管理等の方策に関する提言>
X.労働衛生に関わる人材を育成する


  小規模事業所内部においては、調査結果が示すように、現状では10人以上の事業所における安全衛生推進者、有害危険作業の各種作業主任者の選任率は法的義務にもかかわらず低い。これらの労働安全衛生担当者なくしては、小規模事業所内部における労働衛生活動の推進は困難が大きいであろう。
  また、旧来の有害作業とは異なり、人間工学的な問題や作業方法などによる健康障害が増えてきている。これらの課題の解決には従来の労働衛生に関連した資格では十分な専門的な知識と経験を以て対処することは困難になっている。


1.事業所内で労働衛生管理に関わる人達を育てる

  これらの資格を取りやすい条件整備、および財政的支援を含めた措置により養成を促進する必要がある。また、衛生管理者についても、選任する事業所規模を小さくした場合には必要となる。さらには安全衛生委員についても教育機会を設けて、意識向上を図れば、職場の衛生管理の一層の向上が期待でき、参加型の労働衛生管理活動の軸となり得る。これらの資格を取る機会または教育機会の便宜を様々な方法で支援することが必要であろう。零細な事業所においては、事業者が教育研修を受けることにより安全衛生推進者などに代替できるようにすれば、事業者の安全衛生管理に関する意識の向上と責任感の向上を期待できる。


2.事業所外で労働衛生専門家 Industrial Hygienist(IH) ならびに労働人間工学専門家 Industrial Ergonomist などの新しい労働衛生職種の資格をもうけて養成する

  小規模事業所においては、作業環境改善、作業方法・編成の改善をおこなう場合に人的・技術的な困難がとりわけ大きい。また、上記の改善をおこなうには現行の資格制度では不十分であり、労働衛生コンサルタントの活用に加えて、上記の専門職種により解決が図られる必要がある。労働衛生専門家(IH)とは、産業の場における衛生(health)と安全(safety)の問題を分析し、解決に必要な知識と実践的技術を持ち、労働衛生・産業保健の専門家としての知識・技能・適性を備え、助言・指導・教育ができる人材である。労働人間工学専門家とは、産業の場における人間工学的な課題についてIHと同様な役割が果たせる人材である。