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大阪府感染症情報センター

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サル痘(mpox)の多国間への感染の拡がりについて

更新日:2023年5月15日

以下の記事はWHOの配信しているsituation reportの内容、および厚生労働省の資料を参考にしています。


世界における発生状況

 2022年1月1日以降、2023年5月8日までに87,377例の症例が世界の111の国と地域から報告され、WHOの6つある地域すべてから報告されています(図1)。累積の死亡は130例となっています(表1)。疫学週第18週(5月1日から5月7日)における新規の症例発生数は105例で、前週と比較すると41例増加しています。5月8日までの直近3週間に報告された症例は西太平洋地域(Western Pacific Region)からの報告がの49%と最も多く、続いてアメリカ地域(Region of the Americas)からの報告が44%と多かった(表1)。
西太平洋地域では2023年5月8日までに累計477例の症例が12の国と地域から報告され、死亡例は報告されていない。
累計症例数の上位10か国は米国(30,154)、ブラジル(10,920)、スペイン(7,551)、フランス(4,146)、コロンビア(4,090)、メキシコ(4,010)、ペルー(3,800)、英国(3,741)、ドイツ(3,691)、カナダ(1,484)でこれらの国で世界の症例数の84.2%を占めています(図2)。

性別が確認されている80,872例のうち77,834例(96.2%)は男性です

年齢中央値は34歳(四分位範囲29-41)です

年齢が判明している83,460例のうち1.3%(1,108)は0~17歳、0.4%(324)は0~4歳児であり、0~17歳例の61.5%(681/1,108)がアメリカ地域からの報告です

性的指向の情報が確認されている症例のうち84.1%(25,871/30,761)は、ゲイ、バイセクシャル、またはその他男性間での性的接触のあるもの(MSM)でした

感染経路が判明している症例のうち82.0%(16,400/19,998)が皮膚や粘膜を介した接触感染でした

一つ以上の症状が判明している34,206例のうち、発疹が80.7%と最も多く、発熱が59.2%、全身性および性器の発疹がそれぞれ47.6%、44.0%でした

・HIV合併の有無に関する情報が得られている36,357例のうち17,581例(48%)がHIV陽性でした。HIV合併のあるmpox症例の65%が免疫不全でした。免疫不全の症例はそうでない症例に比較し高い入院率や致死率を示しています。(図3)

Fig1_mpox.png
図1)2022年1月1日以降から2023年5月7日までに報告されたサル痘(mpox)症例の地域別週別流行曲線

Fig2_mpox.png
図2)2022年1月1日以降から2023年5月8日までに報告されたサル痘(mpox)症例を報告している国の地理分布

Fig3_mpox.png
図3)2022年1月1日以降から
2023年3月26日までに報告されたHIV合併しているサル痘(mpox)症例状況


表1)地域別のサル痘(mpox)症例累積報告数、死亡数、直近3週間の状況(2023年5月8日時点)Table1_mpox.png


国内における発生状況

日本国内の最新の発生状況は厚生労働省 報道発表資料をご確認ください
厚生労働省サル痘報道発表資料


2023年5月12日から厚生労働省 報道発表資料の様式変更に伴い以下のデータは5月2日時点からの更新はしておりませんのでご注意ください。

2023
年5月2日現在、127例報告されており、全て男性の症例です。

厚生労働省 報道発表資料を基に以下図表(図4,表2-4)を作成

Fig4_mpox.png

図4国内における受診週別の症例発生状況


表2報告症例における症状の有無および症状別割合

主な症状 報告数    報告割合(%)
発疹   
112
88.2
発熱    94
74.0
リンパ節腫脹    43
33.9
倦怠感    24   18.9
咽頭痛    18   
14.2
肛門直腸痛    16 
12.6
頭痛      14   11.0
筋肉痛       4    3.1
その他皮膚粘膜病変    3    2.4
無症状    5
3.9


表3)報告症例における年代割合

年代    報告数    報告割合(%)   
10歳代    1    0.8
20歳代    25
19.7
30歳代    44
34.6
40歳代    49
38.6
50歳代    6
4.7
60歳代    1    0.8
70歳代    1    0.8


表4)報告症例における居住自治体割合

居住地    報告数    報告割合(%)   
東京都    80
63.0
神奈川県    15
11.8
千葉県    4 3.1
埼玉県    7
5.5
茨城県    1    0.8
静岡県    3
2.4
大阪府 8
6.3
兵庫県 1 0.8
徳島県 1    0.8
香川県    1    0.8
高知県 1 0.8
沖縄県 2 1.6
国外    3
2.4

 

感染拡大防止に向けて


サル痘(mpox)は、(i)主に感染した人や動物の皮膚の病変・体液・血液に触れた場合(性的接触を含む)、(ii)患者と近くで対面し、長時間の飛沫にさらされた場合、(iii)患者が使用した寝具等に触れた場合等により感染します。人々が長期間、頻繁に密接に接触する集会は、サル痘(mpox)の感染リスクを助長する可能性があるため、集会参加者や主催者へ向けた感染拡大防止の注意喚起や啓発活動を積極的に実施することが重要です。


症状が出たら

最も多く報告されている症状は発疹で、体のいずれかの部位に発疹が確認された症例は80%以上となっています。また、発熱が60%以上の患者から報告されています。
 サル痘の潜伏期間は6から13日間(最大5から21日間)とされており、潜伏期間の後、発熱、頭痛、リンパ節腫脹、筋肉痛等の症状が0から5日続き、発熱1から3日後に発疹が出現、発症後2から4週間で治癒するとされています。

上記を含むサル痘(mpox)が疑われる症状を認めた場合には、まず、最寄りの医療機関に相談することが大切です。医療機関を受診する際には、マスクの着用や発疹部位をガーゼなどで覆う等の対策をした上で受診してください。

 

参考情報

  1. WHO,Multi-country outbreak of monkeypox, External situation report #19 - 30March 2023
  2. WHO,Multi-country outbreak of monkeypox, External situation report #21 - 27April 2023
  3. 厚生労働省サル痘報道発表資料