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大阪安全基盤研究所

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中国で報告が相次ぐ鳥インフルエンザA(H7N9)の最新の知見と動向について


ウイルスの起源
 鳥インフルエンザウイルスA(H7N9)は、自然界で水鳥が保有しているウイルスの一つですが、2013年に中国でヒト感染が報告された新型インフルエンザA(H7N9)は、トリの中で4種類の鳥インフルエンザウイルスの遺伝情報が混じり合って生じた新しいウイルスと考えられています。

鳥から人への感染実態は?
 鳥インフルエンザウイルスA(H7N9)に感染した鳥類では、ウイルスが体内で効率よく増殖し、持続的に多数のウイルスが排泄されると考えられます。感染した鳥類が周囲にいると、呼気を介してウイルスが侵入し、人への感染が成立すると考えられます。中国には、生鳥を売っている市場をはじめとして、鳥と人が密に接する環境があります。このような環境で鳥インフルエンザウイルスA(H7N9)に感染した鳥と濃厚に接触した人に鳥からウイルスが感染したと考えられています。

ウイルス伝播のしくみは?
 インフルエンザウイルスは宿主特異性が強いので、鳥インフルエンザウイルスが人に感染することはまれと考えられています。ただし、人に感染し易くなる変異がみつかったという報告もあり、油断は禁物です。
 鳥から人に感染する性質と、人から人にウイルスが伝播する性質は別と考えられています。人から人に感染が伝播する性質を獲得すると、インフルエンザウイルスは極めて急速に人集団に感染を広げ、健康被害が世界的に広がる恐れがあります。しかし、現時点では人から人への感染は認められていません。

人に感染したときの症状
 中国からの報告によると、人が新型鳥インフルエンザウイルスA(H7N9)に感染すると、多数の症例で高熱と肺炎を伴う症状を呈します。重症感が非常に強いインフルエンザ感染症といえます。

治療と予防
 鳥インフルエンザウイルスA(H7N9)に対するワクチンは現在開発中です。これまでに市販されたノイラミニダーゼ阻害剤である、オセルタミビル(タミフル)やザナミビル(リレンザ)などの抗インフルエンザ薬が有効と考えられています。

政府の対応は?
 日本に侵入した際の影響の大きさを考えて、政府はトリインフルエンザウイルスA(H7N9)によるインフルエンザを指定感染症に指定しました(5月6日施行)。このウイルスによる感染が確定した場合は、入院勧告等の措置をとることができるようになっています。

今後の展望
 鳥インフルエンザウイルスA(H7N9)感染者が台湾で確認されました。一方、日本で鳥インフルエンザウイルスA(H7N9)感染者は認められていません。しかし、日本と中国の間ではたくさんの人々が往来するため、いつ感染者が日本で確認されても不思議ではありません。そのため、大阪府立公衆衛生研究所では、国立感染症研究所が考案したリアルタイムRT-PCR法を用いた核酸検査が実施できる態勢を整えました。
 中国で人に感染が報告された新型インフルエンザA(H7N9)が容易に人から人への感染を起こし、2009年に経験したブタ由来インフルエンザウイルスのようにパンデミックインフルエンザになるのか、このまま人への感染が限局的に起こるだけで終息に向かうのか予測できません。最悪の事態に備えて、準備を怠らないようにしていくことが肝要と思われます。

  (平成25年5月22日 加瀬記)



 関連リンク

 ・「中国で鳥インフルエンザA(H7N9)の患者が発生しました」(当所のトリインフルエンザ記事)

 ・感染症学会の提言