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「大阪府全域におけるノロウイルス流行調査」研究

旧「ノロウイルスをモデルとした大阪府全域での健康危機管理のための情報システムの構築」

はじめに

 ノロウイルス感染症は毎年流行し、全年齢層が感染の対象となります。小児の胃腸炎や集団施設での発生に加え、食中毒の原因ともなり社会的・経済的損失の大きな疾患です。ノロウイルスの被害を防ぐには正しい対処法を知ること、流行状況を把握することが大事です。そこで、大阪府立公衆衛生研究所では大阪府全域における感染症情報を提供する取組みを研究開発事業の一環として始めました。この事業は大阪市立環境科学研究所と堺市衛生研究所との共同で実施しています。

<目次〜ノロウイルスについての情報と流行状況について〜>

  1. 今月のトピックス
  2. 気になるニュース
  3. 大阪府における感染性胃腸炎の届出状況と過去の推移
  4. 感染性胃腸炎集団発生の発生状況
  5. 食中毒の発生状況
  6. 感染性胃腸炎の原因ウイルスに関連する情報のリンク集

※以下に表示する図や数値は、今後の調査結果に応じて、数値に若干の変更が生じることがあります。

1.今月のトピックス

 大阪府における平成28年5月(5月2日〜5月29日)の感染性胃腸炎患者報告数は先月比11.2%減の5,671人でした。続く6月(5月30日〜7月3日)の報告数は先月比16.8%増の6,632人でした。集団発生は大阪府全域で5月16件(302人)および6月9件(191人)の届け出がありました。
 両月に検出されたノロウイルスのうち型別が終了した食中毒事例からはGI.4、GII.3、GII.4、GII.17が検出されました。小児散発症例からはロタウイルスA G2、ノロウイルスGII.3、GII.4、アストロウイルス、サポウイルスといった多様なウイルスが検出されており、サポウイルスの集団発生もありました。
 7月に入り小児間ではエンテロウイルスによる感染症が流行をむかえてきています。


2.気になるニュース

 2015/16シーズンのノロウイルスについて

 前回の気になるニュースで紹介しましたが、2015/16シーズンは新たに見つかったノロウイルス遺伝子型GII.17の発生動向に注目が集まったシーズンでした。本稿では、大阪府立公衆衛生研究所における昨シーズンのノロウイルス遺伝子型別を振り返ってみます。
 感染症発生動向調査に基づく小児の胃腸炎サーベイランスによると、ノロウイルスが検出されたのは132症例中50例でした。その中で同定された遺伝子型を頻度別にみると、GII.4が35例、GII.3が7例、GI.3、GII.2、GII.17がそれぞれ2例と、小児のノロウイルス感染では従来通りGII.4が流行の中心でした(図1.A)。
 一方、食品衛生法に基づく食中毒においては、有症苦情を含む84事例中49事例でノロウイルスが検出されました。その中で同定された遺伝子型を頻度別にみると、GII.4が17事例、GII.17が15事例、GII.2、GII.6がそれぞれ2事例、GI.2、GI.5、GII.1、GII.3がそれぞれ1事例でした。GII.4とGII.17の混合事例も1事例ありました。食中毒ではGII.4が最も多く、GII.17は2番目に多く検出されました(図1.B)。
 以上の結果から、小児のノロウイルス感染症と食中毒においては主となる遺伝子型に差がある事、GII.17は食中毒事例においてより高い頻度で検出される事が分かりました。食中毒は主に成人で発生し、小児のノロウイルス感染症とは伝搬ルートが異なることから、GII.17がまず成人集団で感染を広げているのではないかと推測されます。
 今後、集団発生事例についても調査を行い、GII.17流行の特徴についてさらに考察を深めたいと思います。



3.大阪府における感染性胃腸炎の届出状況と過去の推移

 ◆大阪府における今年の感染性胃腸炎の届出状況〜感染症発生動向調査より〜
 感染症発生動向調査に基づき報告される5類感染症の中に感染性胃腸炎があります。小児科を中心に府内約200の病院(定点医療機関)の病院に受診した患者のうち、感染性胃腸炎と診断された患者の数が週単位で報告されています。



グラフ


◆大阪府における定点あたりの感染性胃腸炎患者数の過去10年間の比較(大阪府内計)〜感染症発生動向調査より〜

グラフ

 <関連リンク>
 「感染症発生動向調査 報告週対応表」(国立感染症研究所 感染症情報センター)



◆大阪府における感染性胃腸炎の病原体検出状況

 感染性胃腸炎を引き起こす病原体は細菌やウイルスなど多様です。我々は感染症発生動向調査に基づき、その原因を明らかにしています。ここでは感染性胃腸炎患者から検出されたウイルスの検出情報を掲載しています。
 感染性胃腸炎を引き起こすウイルスには、ノロウイルス、A群ロタウイルス、C群ロタウイルス、サポウイルス、アストロウイルス、アデノウイルスなどがあります。

<平成28年> 7月8日現在
平成28年グラフ
※グラフをクリックすると、病原体の詳細情報が表示されます。

 <平成27年の検出状況>
 <平成26年の検出状況>



4.感染性胃腸炎集団発生の発生状況

 保育所などの施設において食事を介さないヒト-ヒト感染によって10人以上の胃腸炎患者が発生し、その原因が特定された事例を集計しています(中核市含む)。原因の9割以上がノロウイルスで、その他にA群ロタウイルス、C群ロタウイルス、サポウイルスなどがあります。 (7月16日現在)

<集団発生事案数の過去5年間の比較> グラフ3

 <平成27年月別の集団発生事案数の推移>
 <平成26年月別の集団発生事案数の推移>


<集団発生患者数の過去5年間の比較> グラフ5

 <平成27年月別の集団発生患者数の推移>
 <平成26年月別の集団発生患者数の推移>




 <感染性胃腸炎集団発生の施設別発生状況(平成27年1月〜平成28年6月まで)>





<関連リンク>
感染性胃腸炎の集団発生状況(大阪府)


5.食中毒の発生状況

大阪府食中毒発生状況速報(大阪府)


6.感染性胃腸炎の原因ウイルスに関連する情報のリンク集

「ノロウイルスについての最近の報道を検索」

「大阪府報道発表資料」(大阪府)

<感染性胃腸炎の原因ウイルスについて>
「ノロウイルス感染症について」(国立感染症研究所 感染症情報センター)
「ノロウイルスに関するQ&A」(厚生労働省)
「ノロウイルス関連情報」(国立医薬品食品衛生研究所)
「病原微生物電子顕微鏡写真集 (ウイルス)」(広島県立総合技術研究所 保健環境センター)

<消毒法、手洗いについて>
「ノロウイルスによる感染性胃腸炎にご注意!」(大阪府)
「高齢者介護施設における感染対策マニュアル」(厚生労働省)

<大阪府における感染性胃腸炎発生状況に関する情報>
「過去のトピックス」(大阪府立公衆衛生研究所)
「大阪府感染症情報センター ものしり講座(32)」(大阪府)
「大阪府感染症情報センター ものしり講座(18)」(大阪府)
「大阪府感染症情報センター ものしり講座(3)」(大阪府)