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「大阪府全域におけるノロウイルス流行調査」研究

旧「ノロウイルスをモデルとした大阪府全域での健康危機管理のための情報システムの構築」

はじめに

 ノロウイルス感染症は毎年流行し、全年齢層が感染の対象となります。小児の胃腸炎や集団施設での発生に加え、食中毒の原因ともなり社会的・経済的損失の大きな疾患です。ノロウイルスの被害を防ぐには正しい対処法を知ること、流行状況を把握することが大事です。そこで、大阪府立公衆衛生研究所では大阪府全域における感染症情報を提供する取組みを研究開発事業の一環として始めました。この事業は大阪市立環境科学研究所と堺市衛生研究所との共同で実施しています。

<目次〜ノロウイルスについての情報と流行状況について〜>

  1. 今月のトピックス
  2. 気になるニュース
  3. 大阪府における感染性胃腸炎の届出状況と過去の推移
  4. 感染性胃腸炎集団発生の発生状況
  5. 食中毒の発生状況
  6. 感染性胃腸炎の原因ウイルスに関連する情報のリンク集

※以下に表示する図や数値は、今後の調査結果に応じて、数値に若干の変更が生じることがあります。

1.今月のトピックス

 大阪府における平成28年3月(2月29日〜4月3日)の感染性胃腸炎患者報告数は先月比50.0%増の7,325人でした。続く4月(4月4日〜5月1日)の報告数は先月比12.8%減の6,385人でした。集団発生は大阪府全域で3月32件(677人)および4月33件(735人)の届け出がありました。
 3月に入り検出されているノロウイルスのうち型別が終了した食中毒からは主にGII.4、GII.17が検出されました。小児散発症例ではロタウイルスが主要原因となっており、保育所等でのロタウイルスの集団発生も多発しています。その他の下痢症ウイルスも検出されています。


2.気になるニュース

 ノロウイルスには多くの遺伝子型が存在しています。これまでGII.4が世界的に毎年流行している遺伝子型でした。しかし、2014/15シーズンはアジアを中心にGII.17(国内の旧表記法*ではGII/11に相当)が主要な遺伝子型になりました1,2)
 大阪府管内では2014/15シーズンに食中毒で41事例(他府県関連および有症苦情含む)、ヒトーヒト感染による集団胃腸炎で13事例からGII.17が検出されました。この遺伝子型は大阪府管内では2012年に1件の食中毒事例から検出されていたのみで、2014/15シーズンにGII.17が大きく流行したことがわかります。今後のGII.17の動向に注意したいと思います。
 なお、GII.17は通知法で掲載されている遺伝子検出法では問題なく検出されています。

*:国内におけるノロウイルス遺伝子型はスラッシュで表記されていました。2015年9月1日以降、ドットで表記される遺伝子型に移行します。このドット表記による遺伝子型と旧表記法による分類では一部型番が一致しないものがあります。例えば、GII/11はGII.17となります。詳しくは
http://www.nih.go.jp/niid/ja/allarticles/surveillance/2297-iasr/related-articles/related-articles-413/4814-dj4138.html 
を参照ください。

1)Lu J. et al. Gastroenteritis outbreaks caused by norovirus GII.17, Guangdong Province, China, 2014-2015. Emerg Infect Dis. 2015
2)Matsushima Y et al. Genetic analyses of GII.17 norovirus strains in diarrheal disease outbreaks from December 2014 to March 2015 in Japan reveal a novel polymerase sequence and amino acid substitutions in the capsid region. Euro Surveill. 20(26) 2015



3.大阪府における感染性胃腸炎の届出状況と過去の推移

 ◆大阪府における今年の感染性胃腸炎の届出状況〜感染症発生動向調査より〜
 感染症発生動向調査に基づき報告される5類感染症の中に感染性胃腸炎があります。小児科を中心に府内約200の病院(定点医療機関)の病院に受診した患者のうち、感染性胃腸炎と診断された患者の数が週単位で報告されています。



グラフ


◆大阪府における定点あたりの感染性胃腸炎患者数の過去10年間の比較(大阪府内計)〜感染症発生動向調査より〜

グラフ

 <関連リンク>
 「感染症発生動向調査 報告週対応表」(国立感染症研究所 感染症情報センター)



◆大阪府における感染性胃腸炎の病原体検出状況

 感染性胃腸炎を引き起こす病原体は細菌やウイルスなど多様です。我々は感染症発生動向調査に基づき、その原因を明らかにしています。ここでは感染性胃腸炎患者から検出されたウイルスの検出情報を掲載しています。
 感染性胃腸炎を引き起こすウイルスには、ノロウイルス、A群ロタウイルス、C群ロタウイルス、サポウイルス、アストロウイルス、アデノウイルスなどがあります。

<平成28年> 5月9日現在
平成28年グラフ
※グラフをクリックすると、病原体の詳細情報が表示されます。

 <平成27年の検出状況>
 <平成26年の検出状況>



4.感染性胃腸炎集団発生の発生状況

 保育所などの施設において食事を介さないヒト-ヒト感染によって10人以上の胃腸炎患者が発生し、その原因が特定された事例を集計しています(中核市含む)。原因の9割以上がノロウイルスで、その他にA群ロタウイルス、C群ロタウイルス、サポウイルスなどがあります。 (5月16日現在)

<集団発生事案数の過去5年間の比較> グラフ3

 <平成27年月別の集団発生事案数の推移>
 <平成26年月別の集団発生事案数の推移>


<集団発生患者数の過去5年間の比較> グラフ5

 <平成27年月別の集団発生患者数の推移>
 <平成26年月別の集団発生患者数の推移>




 <感染性胃腸炎集団発生の施設別発生状況(平成27年1月〜平成28年4月まで)>





<関連リンク>
感染性胃腸炎の集団発生状況(大阪府)


5.食中毒の発生状況

大阪府食中毒発生状況速報(大阪府)


6.感染性胃腸炎の原因ウイルスに関連する情報のリンク集

「ノロウイルスについての最近の報道を検索」

「大阪府報道発表資料」(大阪府)

<感染性胃腸炎の原因ウイルスについて>
「ノロウイルス感染症について」(国立感染症研究所 感染症情報センター)
「ノロウイルスに関するQ&A」(厚生労働省)
「ノロウイルス関連情報」(国立医薬品食品衛生研究所)
「病原微生物電子顕微鏡写真集 (ウイルス)」(広島県立総合技術研究所 保健環境センター)

<消毒法、手洗いについて>
「ノロウイルスによる感染性胃腸炎にご注意!」(大阪府)
「高齢者介護施設における感染対策マニュアル」(厚生労働省)

<大阪府における感染性胃腸炎発生状況に関する情報>
「過去のトピックス」(大阪府立公衆衛生研究所)
「大阪府感染症情報センター ものしり講座(32)」(大阪府)
「大阪府感染症情報センター ものしり講座(18)」(大阪府)
「大阪府感染症情報センター ものしり講座(3)」(大阪府)