コンテンツにジャンプメニューにジャンプ
大阪府感染症センター

トップページ > 医療関係者の方へ2011シーズンの手足口病の臨床像(臨床医からの情報)

医療関係者の方へ2011シーズンの手足口病の臨床像(臨床医からの情報)

更新日:2018年7月26日

今季の手足口病は高熱が出る症例が多いようです。高熱と咽頭の粘膜疹だけなのでヘルパンギーナかと診断していると、1、2日遅れて四肢などに発疹が現れるものや、熱発だけが1~2日続き遅れて発疹が出現するケースも少なくありません。発疹の形や分布も例年の手足口病と比べ多様です。


中には、手足口病という表現が疑問であると思われるくらい、上腕部、太もも(写真6)、ふくらはぎなど四肢全体や、脇の下、腰や背中全体に発疹が広がる症例もあります。HSV感染のように口囲に発疹が点在する例(写真2)や、顔のあちこちに疹が散在するものも見られるようです。臀部発疹も肛門周囲だけではなく、臀部全体に広がっている例もあります(写真1)。

水痘と誤診されるくらいに水疱や痂皮形成が目立つものや、膿痂疹様の変化を呈する症例も散見され、現実に2度目の水痘感染の診断を下された例も少なくないようです。

例年ほどにはノドや口腔の痛みや流涎は訴えないようですが、口唇、舌、頬粘膜よりも咽頭や軟口蓋の粘膜疹が目立つか(写真3)、口腔所見の乏しい例が少なくありません。

(浜本小児科浜本芳彦医師他からの情報)



今年の手足口病患者は、典型的な手足口病より広範囲に発疹が出現するものや、口腔所見の少ないもの、またヘルパンギーナ症状から解熱後に手足に発疹が出現する等多様な経過を取るものが目立ちますが、これらはCA6の流行に起因している可能性もあります。

近年、CA6による手足口病で、水痘様発疹を呈するものや手足口病に罹患して2か月後に爪が脱落するという報告がなされています1)2)。このように、CA6による本症は、表現型が従来のものと異なると思われ、臨床現場での診断にいっそうの注意が必要と思われます。

1) 難波千佳,藤山幹子,橋本公二,他:手足口病後に生じた爪変形、爪脱落の集団発生.日本皮膚科学会 2010;120:754.
2) 宮本麻子,石本和久,平田留美子,他:水痘様発疹分布とonychomadesisを生じたコクサッキーA6 による手足口病のoutbreak.日本皮膚科学会 2010;120:755.

(大阪府感染症発生動向調査解析小委員会八木由奈医師からの情報)



2008年に台湾で流行したCA6感染症の概要が報告されています3)。それによると、ウイルスが同定されたCA6感染症の入院例141例(平均年齢1. 9歳)の108例(77%)はヘルパンギーナで、18例(13%)が手足口病、急性滲出性扁桃腺炎7例(5%)、上気道炎4例(2.8%)、脳炎2例(1.4%)、クループ1例(0.7%)、無菌性髄膜炎1例(0.7%)と多彩な症状を呈しています。平均末梢血白血球数は15,144 (個/mm3)、CRPは平均4.4 (mg/dl)と上昇し、ASTは25%の症例で上昇し肝機能異常を認めています。今季の手足口病でも中枢神経系障害には注意する必要があると考えられます。

本年6月頃から、国内特に西日本を中心に手足口病が流行しており、本府、他府県からもその臨床症状の特徴や分離ウイルスの状況について報告されているので参照されたい4-9)。

3) Shih-Hsuan Lo et al. J Microbiol. Immunol Infect 2011,44,252-257.
4) http://idsc.nih.go.jp/iasr/rapid/pr3785.html
5) http://idsc.nih.go.jp/iasr/rapid/pr3784.html
6) http://idsc.nih.go.jp/iasr/rapid/pr3786.html
7) http://idsc.nih.go.jp/iasr/rapid/pr3783.html
8) http://idsc.nih.go.jp/iasr/rapid/pr3774.html
9) http://idsc.nih.go.jp/iasr/rapid/pr3773.html

(感染症情報センター長高橋和郎)



 

(写真)皮膚症状例


(写真1  提供:豊中市  萬谷小児科)

P01.jpg

 (写真2  提供:八尾市  八木小児科)


(写真3  提供:八尾市  八木小児科)


(写真4  提供:八尾市  八木小児科)


(写真5  提供:八尾市  八木小児科)


(写真6  提供:八尾市  八木小児科)


(写真7  提供:八尾市  八木小児科)


(写真8  提供:八尾市  八木小児科)