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大阪府感染症情報センター

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梅毒(妊娠例と先天梅毒の報告状況)

更新日:2023年4月25日

大阪府内で報告された梅毒届出症例における妊娠例と先天梅毒の報告状況
(2017年~2022年)

2023年4月20日時点のデータに基づく

今回の報告における用語の定義を以下に記載する

  • 先天梅毒例:2017年~2022年に報告された梅毒症例のうち、病型が先天梅毒と記載されている18症例、および病型が無症状病原体保有者と記載されている診断時の年月齢が0歳0か月であった1症例を対象とした
  • 妊娠例:届出様式に妊娠の有無の記載が追加された(健感発1018第2号,平成30年10月18日)2019年1月1日以降に報告された梅毒症例のうち、妊娠の記載のある症例、または出産時に梅毒が判明した記載のあるものを対象とした

 大阪府内の梅毒症例の年間届出数は2018年に1,188例を記録し、それ以降2021年まで届出数は減少傾向で推移していたが、2022年に急増した(図1)。一方、妊娠例は2019年が31例、2020年が37例、2021年が41例と増加傾向で推移し、2022年は2021年と同数の41例であった(図2)。妊娠例のうち届出時に届出項目の(性風俗産業の従事歴(直近6か月以内)に「あり」と記載のあった症例は2019年から2021年までそれぞれ1例(3%)、4例(11%)、10例(24%)と数および割合が増加傾向となっていたが、2022年は4例(10%)と2021年に比較し減少した(表)。しかし、妊娠例のうち性風俗産業従事歴に関する記載がないものが41%と高いことから、正確な状況を把握することは困難である。
 2017年から2022年までのいずれの年も先天梅毒例が報告されており、その数は、年間1例から5例で推移している(図2)。先天梅毒は出産後に時間が経過してから判明する場合もあることから、今後の推移に注意が必要である。

 2021年後半から大阪府を含め全国的に梅毒症例の報告数が急増していること、また、妊娠例における性風俗産業従事歴ある妊娠例も報告されていることから、以下のことが重要であると考えられた。

  1. 妊娠の可能性のある者のうち感染リスクがある者への検査実施と啓発
  2. 妊娠中、または、妊娠の可能性のある者のパートナーに対する検査実施と啓発
  3. 性風俗産業に従事している者、または、性風俗産業に従事歴のある者への検査実施と啓発
  4. 梅毒に対し有効な対策を講ずるうえで、精度の高い疫学情報が不可欠であり、届出時の不明記載の割合を少しでも減らすこと

図1大阪府内における梅毒症例届出状況
congenital fig1


図2大阪府内における妊娠・出産例および先天梅毒例および性別毎の梅毒症例届出状況
congenital fig2

(2017年および2018年の妊娠・出産例数は届出備考欄に妊娠の記載、または、出産時に判明の記載のあるものを参考として記載している)


congenitaltable
2019年1月1日より、梅毒の届け出様式の変更に伴い、性風俗産業従事歴について記載されるようになった