百日咳
百日咳は、百日咳菌(Bordetella pertussis)による急性の気道感染症である。潜伏期は通常5~10日で、かぜ様症状で始まり(カタル期)、百日咳特有の咳が出始める(痙咳期)。新生児や乳児早期では、肺炎、脳症を合併することがある。マクロライド系抗菌薬が有効であるが、近年、薬剤耐性菌も報告されている。百日咳の予防には、ワクチン接種が有効であり、乳幼児期に計4回接種されている。2018年1月1日に小児科定点把握感染症から全数把握感染症に変更され、成人の報告数の把握が進んでいる。
2025年第8週以降、全数把握疾患感染症に変更された2018年から2024年の同時期に比較し最も高い報告数で推移している。
大阪府内における百日咳発生状況(第23週時点)
大阪府内の百日咳症例の診断週別報告数
2024年
2025年
大阪府内では2024年8月(31週)以降に増加傾向となり、引き続き高い水準が続いている
2025年大阪府内の百日咳症例のブロック別診断週別報告数

大阪府内では、泉州ブロック 、北河内ブロックで百日咳の報告数がその他ブロックに比較し多い状況
2025年大阪府内の百日咳症例における年齢分布

年齢 | 中央値 | 11 |
範囲 | 0-93 | |
四分位範囲 | 9-14 |
届出症例の年齢の中央値は11歳で、小学校から中学校の世代で報告が多い
マクロライド耐性百日咳菌の検出状況
近年、世界的にマクロライド系抗生物質に耐性を示す百日咳菌(MRBP)が出現し、特に中国をはじめとするアジア地域でその拡大が懸念されています。マクロライド耐性百日咳菌は、マクロライド系抗生物質(アジスロマイシン、クラリスロマイシンなど)に対して高度な耐性を示し、これらの薬剤による治療効果が低下する可能性があります。日本では2018年に初めて大阪府でMRBPが臨床分離されました1)。2024年以降、国内では大阪府2)を含む複数個所でMRBPの検出が報告されており3)4)、今後も耐性菌の発生状況に注意が必要です。1) Yamaguchi T, et al., Jpn J Infect Dis 73: 361-362, 2020
2) IASR Vol. 46 p42-43: 2025年2月号
3) IASR Vol. 46 p41-42: 2025年2月号
4) IASR Vol. 46 p43-45: 2025年2月号