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大阪府感染症情報センター

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梅毒

2022年における全国の年間梅毒患者報告数は2023年1月5日時点で12,966人と、感染症発生動向調査の全数把握感染症に定められた1999年以降、年間報告数として最多であった2021年を上回り、2017年以降6年連続して5,000人を超えている(2021年は7,978人、2020年は5,871人)。大阪府では2022年の年間梅毒累計報告数は1,822(2023年第5週時点)で、年間報告数として最多であった2018年の1,188 例を超えた。
梅毒は、性行為・オーラルセックスにより、生殖器、口、肛門の皮膚や粘膜の微細な傷口から菌が体内に侵入し感染する。また、妊娠時に胎児が胎盤を介して感染し、「先天梅毒」になることがある。梅毒は、適切な抗菌薬の投与で治癒が期待できる。

 


大阪府内で感染症発生動向調査によって届出られた梅毒の概要    

大阪府感染症情報センターでは国立感染症研究所が配信している梅毒の国内発生状況分析情報
https://www.niid.go.jp/niid/ja/syphilis-m-3/syphilis-idwrs/7816-syphilis-data.html)を参考に、
大阪府内における梅毒症例の動向について四半期毎の推移をまとめたものを2022年第1四半期より四半期毎に配信させていただいております

<2023年1月20日時点のデータに基づく>
2021年第4四半期から2022年第4四半期は、以下の週に該当

  • 2021年第4四半期:第40週~52週(2021年10月4日~2022年1月2日)
  • 2022年第1四半期:第1週~13週(2022年1月3日~2022年4月3日)
  • 2022年第2四半期:第14週~26週(2022年4月4日~2022年7月3日)
  • 2022年第3四半期:第27週~39週(2022年7月4日~2022年10月2日)
  • 2022年第4四半期:第40~52週(2022103~20231月1日)

  注)2022年第52(202311)までに診断されていても2023120以降に届け出のあった報告は含まない。


図1  大阪府内における梅毒報告数
大阪府内梅毒報告数

  • 2021年第2四半期以降は四半期あたり報告数が6期連続で増加していたが、現時点では2022年第4四半期は2022年第3四半期に比較し報告数が6%減少している。報告数は依然として多く、また、遅れ報告があることから今後報告数の経過に考慮する必要がある。


図2  ブロック別報告数
ブロック別報告数

  • 四半期毎の報告数は全ての期間において大阪市医療圏で最も多い。また、2022年第4四半期は中河内、南河内、泉州ブロックを除く5ブロックで、2022年第3四半期と比較し報告数が減少している。
【参考】感染症発生動向調査ブロック分け(http://www.iph.pref.osaka.jp/infection/block1.html
ブロック地図

図3  性別年齢分布
性別年齢分布.png

  • 2022年第4四半期は、男性では最も報告数が多い年齢区分は20~24歳で、次いで25~29歳で多かった。20歳代~40歳代で、男性全体の74%を占めた。
  • 女性では引き続き20~24歳で最も多く、次いで25~29歳で多かった。20歳代の割合は第3四半期から7%減少し、女性全体の62%を占めた。
  • 20~40歳代の男性および20歳代の女性で特に報告数が多いことから、妊娠の可能性のある者のうち感染リスクがある者や、妊娠中、または、妊娠の可能性のある者のパートナーに対する、必要に応じた積極的な検査実施と啓発が重要であると考えられた。
  • 2022年第4四半期は、2022年第3四半期と比較して、ほぼ全ての年齢区分で報告数は男女共に同等か減少したが、20~24歳と50~54歳の男性と、15~19歳、40~44歳、55~59歳の女性では増加しており、特に増加数が多かった20~24歳の男性については、今後も注視していく必要がある。


図4  性的接触歴別、病型の分布
性的接触歴別病型分布

  • 女性異性間は無症候の割合が高く、一方で男性異性間は無症候の割合が低い。前者は自発的検査あるいは医師の検査勧奨や妊婦健診など、検診目的の検査で感染が判明している可能性が考えられ、後者は、梅毒の症状を自認した患者の受診によっての診断が大部分を占め、自発的な検診による無症候性梅毒の検出・診断が少なくなっているものと考えられた。
  • 男性同性間は男性異性間に比較し無症状の割合が高いことから、受検行動の高さや検診目的の検査による判明が多い可能性がある。
  • 無症候の占める割合が女性異性間で47%、男性異性間で10%、男性同性間で39%と、第3四半期と比較しそれぞれ8%増加、増減なし、16%増加であった。
  • 梅毒の流行を抑えるには、自発的な梅毒検査受検率のさらなる向上が必要である。特に感染の可能性のある異性間性的接触を行う男性へ積極的な検査受検を促し、無症候の感染者の診断と治療による介入を行うことが重要であると考えられた。

    注)男性同性間・異性間両方に記載のある症例は重複して含めている



図5  性的接触歴別報告数推移
SyphilisFig5.png

  • 2022年第4四半期は女性の異性間性的接触歴のある報告例は第3四半期と比較し4%増加、男性の異性間性的接触歴、および同性間性的接触歴のある報告例はいずれも減少し、報告数が第3四半期と比較しそれぞれ8%、7%減少した

    注)男性同性間・異性間両方に記載のある症例は重複して含めている


表1  直近6か月以内の性別性風俗産業の従事歴および利用歴
SyphilisTable.jpg

  • 男性のうち性風俗産業利用歴のある報告例は30%前後(28~36%)で推移している。
  • 女性のうち性風俗産業従事歴のある報告例が50%前後(48~58%)で推移している。
  • 男性のうち性風俗産業利用歴不明の報告例が20%台で推移している。梅毒に対し有効な対策を講ずるうえで、精度の高い疫学情報が不可欠であり、届出時の不明記載の割合を少しでも下げていくことが重要であると考える。


図6 
男性における性的接触歴別、性風俗産業の利用歴別の報告数推移
SyphilisFig6.png

  • 男性で異性間性的接触歴のある報告例のうち、性風俗産業利用歴のあるものが、2021年第2四半期から80例前後で推移している。利用歴なしは2022年第1四半期から第3四半期まで増加傾向で推移していたが第4四半期は減少した。
  • 男性で同性間性的接触歴のある報告例のうち、性風俗産業利用歴のないものは、2022年第1四半期から増加傾向で推移している。また、利用歴不明例も第3四半期まで増加傾向で推移していたが第4四
  • 男性で同性間性的接触歴のある報告例のうち、性風俗産業利用歴のある報告数は、2021年第2四半期以降、一定の傾向は認められていない。

「梅毒は感染症法の5類全数把握疾患に指定されています。届出対象となる梅毒症例を診断した医師は「梅毒発生届」を保健所に提出をお願いします。」届出様式はこちら


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