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大阪府感染症情報センター

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梅毒

2022年における全国の年間梅毒患者報告数は2023年3月18日時点で13,226人と、感染症発生動向調査の全数把握感染症に定められた1999年以降、年間報告数として最多であった2021年を上回り、2017年以降6年連続して5,000人を超えている(2021年は7,978人、2020年は5,871人)
大阪府では2022年の年間梅毒累計報告数は1,825(2023年7月11日時点)で、年間報告数としてそれまで最多であった2018年の年間報告数1,188 例を超えた。2023年は第27週時点で1,072例(2023年7月11日時点)と、年間報告数として最多であった2022年の第27週時点の報告数(790例)を上回るペースで推移している。
梅毒は、性行為・オーラルセックスにより、生殖器、口、肛門の皮膚や粘膜の微細な傷口から菌が体内に侵入し感染する。また、妊娠時に胎児が胎盤を介して感染し、「先天梅毒」になることがある。梅毒は、適切な抗菌薬の投与で治癒が期待できる。


大阪府内で感染症発生動向調査によって届出られた梅毒の概要    

大阪府感染症情報センターでは国立感染症研究所が配信している梅毒の国内発生状況分析情報
https://www.niid.go.jp/niid/ja/syphilis-m-3/syphilis-idwrs/7816-syphilis-data.html)を参考に、
大阪府内における梅毒症例の動向について四半期毎の推移をまとめたものを2022年第1四半期より四半期毎に配信させていただいております

<2023年7月11日時点のデータに基づく>
2022年第1四半期から2023年第2四半期は、以下の週に該当

  • 2022年第1四半期:第1週~13週(2022年1月3日~2022年4月3日)
  • 2022年第2四半期:第14週~26週(2022年4月4日~2022年7月3日)
  • 2022年第3四半期:第27週~39週(2022年7月4日~2022年10月2日)
  • 2022年第4四半期:第40~52週(2022103~20231月1日)
  • 2023年第1四半期:第1週~13週(2023年1月2日~2023年4月2日)
  • 2023年第2四半期:第14週~26週(2023年4月3日~2023年7月2日)

  注)2023年第26週(2023年7月2日)までに診断されていても2023年7月12日以降に届け出のあった報告は含まない。


図1  大阪府内における梅毒報告数
大阪府内梅毒報告数

  • 2022年第4四半期以降報告数が減少傾向であったが、2023年第2四半期は増加に転じ、現時点で2022年第3四半期を上回る報告数となっている。2023年第2四半期は2023年第1四半期に比較し報告数が15%増加している。遅れ報告があることから、特に直近の報告数は今後変動する可能性がある。


図2  ブロック別報告数
ブロック別報告数

  • 四半期毎の報告数は全ての期間において大阪市医療圏で最も多い。また、2023年第2四半期は北河内ブロックを除く7ブロックで、2023年第1四半期と比較し報告数が増加している。
【参考】感染症発生動向調査ブロック分け(http://www.iph.pref.osaka.jp/infection/block1.html
ブロック地図

図3  性別年齢分布
性別年齢分布.png

  • 2023年第2四半期は、男性では最も報告数が多い年齢区分は20~24歳で、次いで25~29歳で多かった。20歳代~40歳代で、男性全体の72%を占めた。
  • 2023年第2四半期は、女性では2023年第1四半期に引き続き20~24歳で最も多く、次いで25~29歳で多かった。20歳代の割合は女性全体の67%を占めた。また10歳代の割合は女性全体の9%を占めている。
  • 全期間を通じ20~40歳代の男性および20歳代の女性で特に報告数が多いことから、妊娠の可能性のある者のうち感染リスクがある者や、妊娠中、または、妊娠の可能性のある者のパートナーに対する、必要に応じた積極的な検査実施と啓発が重要であると考えられた。
  • 2023年第2四半期は特に20歳代および、60歳以上の男性で増加を示しており、今後も注視していく必要がある。
  • 男女ともに20歳代の報告数が多いことから、10歳代の若者が性感染症に関する知識を得る予防啓発の機会を増やすことが重要な対策の一つになると考えられた。


図4  性的接触歴別、病型の分布
性的接触歴別病型分布

  • 2023年第2四半期は無症候での届出の占める割合が女性異性間で48%、男性異性間で13%、男性同性間で22%と、2023年第1四半期と比較しそれぞれ2%減少、2%減少、23%減少といずれも減少した。
  • 全期間を通じて女性異性間は無症候での届出の割合が高く、一方で男性異性間は無症候での届出の割合が低い。女性は自発的検査あるいは医師の検査勧奨や妊婦健診など、検診目的の検査で感染が判明している可能性が考えられ、男性は、梅毒の症状を自認した患者の受診によっての診断が大部分を占め、自発的な検診による無症候性梅毒の検出・診断が少なくなっているものと考えられた。
  • 男性同性間は男性異性間と比較し無症候で届出される割合が高いことから、受検意識の高さや検診目的の検査による判明が多い可能性がある。しかし、2023年第1四半期と比較して、男性同性間の無症候での届出の占める割合が23%減少していることから、男性で同性間性的接触歴のある者の受検意識や、検査機会が十分でなくなってきている可能性があり、その結果見かけ上男性同性間の報告数が減少している可能性も考えられた。
  • 梅毒の流行を抑えるには、予防啓発はもちろんのことだが、それに加えて自発的な梅毒検査受検率のさらなる向上が必要である。特に感染の可能性の高い、頻繁に異性間性的接触を行う男性へ、働きながらでも受検しやすい梅毒検査環境を提供するなど、積極的な受検を促し、無症候の感染者の診断と治療による介入を行うことが重要であると考えられた。

    注)男性同性間・異性間両方に記載のある症例は重複して含めている



図5  性的接触歴別報告数推移
SyphilisFig5.png

  • 2023年第2四半期と同年第1四半期を比較すると、女性の異性間性的接触歴のある報告数は15%増加、男性の異性間性的接触歴のある報告数は25%増加、同性間性的接触歴のある報告例は14%減少し、特に男性の異性間性的接触歴のある報告数が増加した。

    注)男性同性間・異性間両方に記載のある症例は重複して含めている


表1  直近6か月以内の性別性風俗産業の従事歴および利用歴
SyphilisTable.jpg

  • 男性のうち性風俗産業利用歴のある報告例は30%前後(29~33%)で推移している。
  • 女性のうち性風俗産業従事歴のある報告例が50%台(50~58%)で推移している。
  • 男性のうち性風俗産業利用歴が不明の報告例が20%台で推移している。梅毒に対し有効な対策を講ずるうえで、精度の高い疫学情報が不可欠であり、届出時の不明記載の割合を少しでも下げていくことが重要であると考える。


図6 
男性における性的接触歴別、性風俗産業の利用歴別の報告数推移
SyphilisFig6.png

  • 男性で異性間性的接触歴のある報告例のうち、利用歴なし、および利用歴不明の報告数が2023年第1四半期に比較し3割以上増加した。
  • 男性で同性間性的接触歴のある報告例のうち、性風俗産業利用歴が不明の者が2023第1四半期から増加し、一方で利用歴のないもの、および利用歴のあるものの報告数は減少している。

 


図7  妊娠例の報告状況
SyphilisFig7.png

「梅毒は感染症法の5類全数把握疾患に指定されています。届出対象となる梅毒症例を診断した医師は「梅毒発生届」を保健所に提出をお願いします。」届出様式はこちら


 pdf版はこちら。